炎上間近!?『バブル女は「死ねばいい」 婚活、アラフォー(笑)』(著:杉浦由美子)レビューまとめ

[ 2010/09/03 ]



先日紹介した杉浦由美子さんの本、「『バブル女は「死ねばいい」 婚活、アラフォー(笑) (光文社新書)』」が話題沸騰中です。(参考:新たな波紋を呼ぶか!?『バブル女は「死ねばいい」婚活、アラフォー(笑)』(著者:杉浦由美子)が明日発売アラフォー世代を痛烈に斬った本は、婚活をする女性たち、特にアラフォー世代にどう響くのでしょう。

amazonでのレビューは4件。星5つから星2つまでそれぞれに1件ずつのレビューが寄せられています。

星5つから紹介しますね。

バブル世代VS団塊ジュニアの格差論バブル世代とその下の世代である団塊ジュニア世代を、
遅れてきた世代の視点で対比している、世代論である。

勇ましいタイトルは光文社新書的。しかし内容は、統計を引用したり、マーケティング的な視点で、消費者としての世代格差を論じたりして、意外にまじめ。特に後半になるとその傾向が強まる。

バブル女とは、バブル景気に湧いた時代に男女雇用機会均等法の恩恵を受けた女子正規雇用労働者であり、団塊ジュニア世代女子からすると、わずか数年差で、バブル女が享受している様々な社会的恩恵を受けられずここまで来た。その怨嗟が本書のテーマなのだろう。…

塊の世代ジュニアである著書、杉浦さんの生きてきた時代背景が生ませた本・・・というイメージでしょう。題名とは対照的に内容にある分析などから、客観的に世代論を論じていると感じたようですね。

星4つはなかり長いレビューになるので抜粋しますが

これまで「腐女子」や「ケータイ小説」などのガールズカルチャーを旺盛な取材活動でとりあげてきたノンフィクションライターの杉浦由美子。彼女が新刊にてターゲットにすえたのは「バブル女」、青春をバブル景気のもとで謳歌し、その気分のまま今もバリバリ元気に生きる女たちだ。

これまでにも杉浦さんは、かなり衝撃的な本をこの世に送り出しています。世代ごとの生態を客観的に考えることがうまく、確かに「腐女子」や「ケータイ小説」もその分析力は素晴らしいですね。

星3つのレビューでも

バブル世代VS団塊ジュニアを扱った世代論です。それなりの限界と面白さが混在するのが世代論ですが、さすがにこの種の細分化されたsegment分析は当事者でないとその面白さと切実さはわからないのかもしれません。ちょうど団塊世代とその後のしらけ世代との違いの分析が現代の若者にはまったく関心を引かないと同じように。

両者を対比させながらも(特にバブル世代の女子の生態を戯画的に描きながら)、団塊ジュニアの直面する困難が繰り返し呈示されます。「強制された自己実現」、「バブル脳は最後の戦後世代」というのはいいえて妙です。

最後の200ページでは、「もう二度と右上がりの時代がこない中」での、いつも変わらぬ不易の真理が呈示されます。様々な物への欲求を満たした後に残るのは、母性への希求と残酷な長い時間というのは単純ながら恐ろしい未来像です。それにしても1983年の地方の中高一貫のミッション・スクールの光景というのは本当に「輝いていた」のでしょうね。僕にもその時代の太陽の輝きが思い出されるようです。

という感じで、やはり杉浦さんの世代を見る力、世代を語る力を評価している様子。バブル全盛期を冷静に見ていたという感じもビシビシ感じます。

最後に、一番厳しい意見、星2つ

生涯独身率などは公的な統計もあることから、こうした数字も踏まえた内容を期待していたのですが、自分の周りのある人はこう言った、あるいは取材対象のAさんはこう言っていた、という一次情報がメインでかなりミクロな視点から書かれています。

ちょっとひどいなと思ったのは、68ページで、ある結婚情報サービス会社では男性は年収400万以上ないと入会できないと前置きした上で、「年収400万以上ということは、月に手取りで30万円くらいか。これだけあれば、女性の1人くらい養える。」という記述があります。

年収400万円の所得税率は20%です。加えて社会保険料も引かれますから、年収400万円で手取り(という表現を使う以上サラリーマンの給与を想定しているはずです)が30万円ということは、賞与がゼロとしてもあり得ません。

こんな常識的な知識もなく、ちょっと検索すればすぐわかることなのに間違った思い込みをもとに書いているのにはあきれました。担当編集者も校正していて変だと思わなかったのでしょうか。

書名から言っても、感情的にアラフォーを叩く論評が読みたいならお勧めかもしれませんが、まともな論評を期待するなら他にもっと良書があると思います。

全体的に分析して論評している本としてみている傾向が強いようです。読む人によっては、気持ちよく読めるのかも。『バブル女は死ねばいい』という過激なタイトルではあるものの、中身は割と真面目な世代論となっているので、今回はボヤ程度で終わりそうですね(笑)

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